「与那国島の子守唄と童謡」について
CD「与那国島の子守唄と童謡」について
八重山諸島の最西端で、古くから民謡の宝庫でもある与那国島。そこに伝わる子守唄と童謡がシマの古謡を唄い継いできた名手、福里安展により初めてCD化された。
福里安展の父、福里武市は60年代、与那国島の古謡を初めて工工四(くんくんし/楽譜)に作り上げた編纂者の一人で民謡の名手でもある。武市はこの民謡の工工四を出版したのち、子守唄と童謡の工工四の編纂も手がけたが、曲のレコーディングの夢は叶わず1978年に他界した。
息子、安展は父が遺した唄を伝えていくべく演奏活動を続けるとともに、長年の夢であった父が編纂した童謡・子守唄の工工四の曲の収録を試みた。歌の完成に6年をかけた後、マルヨシレコードから福里安展の初CDとしてリリースすることとなった。
CD「与那国島の子守唄と童謡」では当時の島の子供たちの様子や島の生活が素朴に、彼ならではの温かみを感じさせる声でやさしく、時に力強く歌われている。安展の父への思い、また今は失われてしまった島の生活への郷愁を感じさせれる歌声がしみじみ聞ける。
CD収録曲
1 ながやま
ながやまの神仏 雨よ降ってくれるな お願いお願い…
2 いがびあぶ
鳩や馬や雀が怒ったように泣いている、物知りのいがび婆さんにその訳を聞いてみよう…
3 あんがま
旧盆の準備に忙しい奥さんの手伝いもしないでごろごろしている旦那様の様子をおもしろく歌った
4 花の伊舎堂
家を継ぐ 私の孫を産みなされ あの美しい八重城の「花の伊舎堂」に住む貴公子を…
5 にちぬさんあぃてぃ
人頭税に苦しむ農民の様子を子どもの目から風刺的に歌った童謡
6 みとぅぬはち
水溜まりの橋の赤い小ガニ 居眠りするなよ 「ひらしか」の無法者にやられるなよ…
7 でぃくくてぃ
木の下にいる ちびちゃん早く登ってこい 登れない弱虫は犬でも猫でも かまれて泣け泣け…
8 はーでー
よしよし「ふるてぃ」よ ねなさいよ泣くなよ 泣いてたら 子犬や子猫に噛まれるぞ…
9 うちぬはん
子どもたちの遊び歌。座敷で足を前に伸ばして車座に座り、足を数えながらこの歌を歌う
10 はららるでー
おじいさんは 大海原で大きな魚を釣ってきて ご馳走してあげるから 泣かないでねおりこうさん…
11 つなひき
島の東西に分かれて行われた綱引き、東は田んぼが多く強い綱を作る事ができたので東が勝つと縁起がよいとされた