プロフィール
福里安展プロフィール
沖縄・八重山・与那国の民謡の唄い手。名手であった父、福里武市譲りの味わい深く温かみのある唄声は、与那国の唄の心を誰よりもよく表していると評される。ここ10年は毎年首都圏での演奏活動を行ってきており、首都圏にもファンが多い。本アルバムがデビューCD。シマの古謡を唄うアルバムの企画も進行中。
福里安展と父、福里武市、そして子守唄について
福里安展の父、福里武市は60年代、与那国島の古謡を初めて工工四(くんくんし/楽譜)に作り上げた編纂者の一人で民謡の名手でもある。武市はこの民謡の工工四を出版したのち、子守唄と童謡の工工四の編纂も手がけたが、曲のレコーディングの夢は叶わず1978年に他界した。
息子、安展は父が遺した唄を伝えていくべく島の内外で演奏活動を続け、特に横浜・川崎では毎年コンサートや民謡ライブを重ねファンが多い。その間、長年の夢であった父が編纂した童謡・子守唄の工工四の曲の収録も目指し、歌の完成に6年をかけた後、マルヨシレコードから福里安展の初CDとしてリリースすることとなった。
与那国の子守唄といえば「ハララルデ」が有名で、与那国島では皆が知っている。家々で歌い継がれてきたものであるので、当然バリエーションが豊富にあるが、武市はより古い旋律の保存・継承にこだわり、今回の福里安展CDでもその古い旋律で歌われている。
与那国の童謡を初めて収集してまとめたのは昭和17年発行の小冊子『南島』で、著者は竹富出身の前新加太郎氏。与那国の比川集落に教員として赴任していたときに、台北帝国大学の須藤教授の依頼を受けて執筆したものだそうで、主に比川の童謡が集められている。同じ童謡でも比川と祖納の二集落ではやはり異なるという。武市氏は祖納のものを自分なりにアレンジしたものと思われる。